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生れ出づる悩み【小説】

 11,2009 19:22
表紙買いですともっ!(笑)

【1918年発表。たまにはこういう年代の文学を読んでみるのもいいものです。文章や言葉が美しい。最近の小説ではついぞ出会わない「読めない漢字」とかがあったりしてね(笑)】


生れ出づる悩み (集英社文庫)生れ出づる悩み (集英社文庫)
(2009/06/26)
有島武郎

商品詳細を見る



表紙買いであろうか、なんであろうが、機会があればこういう本は読むことにしています。
今までが、結構ことごとく基本形の文学をすっ飛ばした読書歴だからです。

例えば漱石なんかだったら「夢十夜」は読んでるのに「坊っちゃん」「吾輩は猫である」は読んでない。
太宰なら「駆込み訴え」とかは読んでたのに「人間失格」はついこないだ読んだ、とかね(^^;


ところで、表紙買いをしはしましたが、この話のどこに岡田将生くんのイメージがかぶるというのか(笑)。

たんに悩んでいる青年のイメージなんでしょうね(^^;
実際に登場する「青年」は、どっちかってぇと、ゴジラ松井のようなんですが(笑)。
もしくは百歩譲って坂口憲二さんとか。
大きくてイカツイ系ね。


これを読んで、あまりの正反対さ加減に「蟹工船」を思い浮かべました。
まあ、場所や設定その他は違っても、どちらも北海道の漁師が出てくるお話。
でもなんだ、この落差は。
かたや超プロレタ目線。
かたや超ブルジョワ目線。
並べて読むと面白いですよ(笑)。


作者の有島武郎さん。
なにも知らなかったんですが、読んでるうちに「きっとこの人はお金持ちの坊ちゃんに違いない」と思っていたら、本当にそうでしたΨ(`∀´)Ψ


そういや「蟹工船」は映画化されますが、これがまた。
今出てきている画像だけ見てたら、いったいなんのスタイリッシュな若者闘争劇ですか?という感じになってますね(笑)。

映画版公式サイト

どういう船内になっているやら(^^;


以下ネタバレ。


主人公「私」は北海道出身で東京在住の作家。
ある日、自分で描いた絵を携えた青年「君」の来訪を受けます。
「君」は、絵の道に進みたくて仕方がないけれど、貧しい家のために学校もやめ、故郷で漁師をしなければならない境遇。

最初の出会いの印象はそう良くなかったものの、「君」の絵には感銘を受けた「私」は、ことあるごとに「君」のことを思い出したりするわけですな。

何年も経ち、忘れかけた頃に再会した「君」は、初めて会った時とは似ても似つかない逞しい漁師の青年になっていたんですが、まだ絵への情熱は捨てきれないまま。

漁師として生きていくのが当たり前でなんの疑問も抱かない周りの人間の中で、「君」だけは苦悩して生きている。
「私」はそんな「君」の日常に思いを馳せて……というお話。


え~、優等生的な読み方をしますと、つまり、如何ともしがたい生活の中で、それでも夢を諦めきれないがための生き方への苦悩というか。
過酷な生活の中でも、芸術への憧れを捨てられない青年の、崇高な悩みというか。
そういうことを綴った内容です。


んが!
身も蓋もない読み方をしますと、明日をも知れないような生活苦を、まったく身近には感じていないそこそこ裕福な物書きが、数回会っただけのプロレタリアートの青年の日常生活をひたすら妄想しているというお話だったり(^^;


本文の後半は、「私」が「君はきっとこんな生活の中で、こんなことを思ってるんだろう。手紙や会った時の口ぶりから想像できるよ。たぶん、間違ってない!」と、ひたすら「君」の生活を思い描いている、というものなんですね。

まったく「君」本人は、あずかり知らぬ話になってます(笑)。

「私に悪気はないことは解ってくれるだろう。だから筆を進める。たぶんこんなだろう!」と、友人との交流まで妄想されてるわ、自殺未遂はさせられてるわΨ(`∀´)Ψ

まったく間違ってたらどうするつもりだっ(笑)。

ってか多分「私」と「君」では、ずいぶんメンタリティが違うから!

まあ「私」が正しくて、彼がもしかしたら「君」の素晴らしい理解者である可能性もなくはないんですが。


いやあ、なんというか、違う意味で面白かった(笑)。

徹底的に貧困の悲惨さを描いた「蟹工船」と違って、こちらは命がけの漁師さんの生活を描いていても、労働の崇高さとか、裕福で怠けて目的もなく生きている人よりよほど素晴らしい生き方だ!的な、そういう視点になっています。
板一枚下は地獄、という漁師さんたちの危険さや貧しさももちろん描かれているんですが、にじみ出る「悪気のない上から目線」みたいな(^^;

きっとまったく理解しあえないな、この人たち(笑)。
「私」と漁師さんたちも。
有島さんと小林多喜二さんも。


まあ、「私」の妄想とはいえ(ヲイ(^^;)、最後数ページは力技で持っていきます。
なんだか有無を言わさず納得させられそうな勢いですよ(笑)。


しかし、一番問題なのは、こんな純文学におもわずツッコミを入れながら読んでしまう、私の読書傾向か……(^^;

いやいや。こんなこと書いてますが、文章や言葉はやはり美しいのですがね!(≧▽≦)b

この本、約160pあるんですが、本編は112pまで。
あとは延々有島さんと作品解説になっておりますので、真っ当な作品解説はそちらでお読みください(笑)。



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