今まで、万博やテーマパークのアトラクションでしか見たことがなく、ああいうイメージだったので気は進まなかったんですが、字幕上映で時間が合うのが3Dしかなかったので(^^;
そろって冒険家に憧れてた小さな頃から一緒にいて、とても仲良く暮らしてきたご夫婦・カールとエリー。
いつかふたりで南米のパラダイスの滝で暮らそうと約束しながらも、つつましい穏やかな生活の中で、その約束は果たされないまま、ふたりは年を取っていきます。
ふたり揃って白髪のおじいさんおばあさんになった時、カールはついにその約束を果たそうとしますが、その時にはエリーが病気に倒れ、帰らぬ人に。
エリーの死後、ひとりで思い出の家で暮らしていたカールじいさんですが、周囲の土地開発のせいで揉め事を起こしてしまい、土地と家を明け渡さなければならないことになってしまいます。
そこでじいさん一念発起。
ふたりの約束を果たすため、風船をいっぱいつけたエリーとの思い出のおうちとともに、南米の滝を目指して旅立ちます。
しかし、そこには近所の子供のラッセルが紛れ込んでいて……。
というお話。
びっくりしたのは、あっというまに滝の近くまでは辿りつくことです(笑)。
辿り着くまでが冒険かと思っていたら、辿り着いてからが冒険だったよ(^^;
開始早々、夫婦おふたりの歴史が、無声映画のようにほぼセリフなしで語られるんですが、これがもう!
セリフなしシーンを作らせたら、ピクサーに勝てるとこはあんまない気がするなぁ!
実写も込みで。
「ウォーリー」
も、本当に最初のほうほとんどセリフがないんですよ。
それなのに映画が成立する。
「カールじいさん~」のご夫婦の、ともに歩んできた人生語るシーンなんか、映画成立するどころの話じゃなくて、泣かされます。
ほんの10分もあるかないかのシーンなのに。
すごいです。
おじいちゃん主人公で、「妻が死にました……」のナレーションで始まる予告から想像していた内容は、もっとほのぼのとしたものかと思っていたんですが、なんのなんの。
悪者役も子供も犬も鳥も入り乱れる冒険アクションものです(笑)。
カールじいさんとラッセルくんの関係なんか、ちょっと
「グラン・トリノ」
な匂いもするぞ。
ほのぼの「グラントリノ」(笑)。
カールじいさん。
愛するエリーに先立たれちゃってひとりでおうちにいた時は、階段も自力で登り降りできず自動昇降機を使い、杖を使ってよろよろ歩いていたんですね。
でも、南米に行って、いろいろ体力使う目にあっているうちに、カクシャクとしてきますからね(笑)。
まるで
ルパン
か
コナン
か
パズー
のような活躍ぶりでしたΨ(`∀´)Ψ
ジブリとピクサーが仲良しなのは有名な話ですが、今回のお話はピクサーのお話の中でも一番ネタがジブリっぽい。
「ラピュタ」
が思い出される感じ。
イメージだけね。
ちょっとオマージュっぽいとこもあります。
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「SF巨大生物の島」
へのオマージュという話もあるそうな。
でも、似てるとかそういうんでなく、ピクサー作品はピクサー作品なんだなぁ。
一番違うのは「優しさ」かな。
基本、ピクサーのお話は優しいものが多い。
キャラクターが虫であろうと魚であろうと動物であろうと無機物であろうと人間であろうと、見つめる視点が非常に優しい。
ジブリの宮崎さんの作品はもうちょいプリミティブだ。
「生きるための強さ」が出てくるものが多い。
ピクサーは合議制、ジブリは宮崎御大独裁という違いもあります。
宮崎さん、言動聞いてても性格キツそうだもんなぁ(笑)。
宮崎さんはどこまでも手描きにこだわり、ピクサーはフルCGアニメという違いはあれど、そのこだわりっぷりったらすごいです(笑)。
とにかく、背景なんてもうなんでもフルCGで作れるよね!ってな感じです。
質感が、年々リアルになってくる。
特に布のテクスチャーなんて、最近特に本物っぽくなってきた気がします。
以前、山田孝之くんが「映画がフルCGで制作されるようになったら、僕なんか明日から引きこもりです」と言っていましたが、本当にもう数年で可能になるような気がしてきました。
まあ、もちろん、一番最後まで難しいのは「人間」でしょうけどね。
ピクサーとWETAの合作映画とか見てみたいなぁ(笑)。
↑
WETAは「ロード・オブ・ザ・リング」を制作したスタジオです。
道具は進化する。
技術も進化する。
でも、それを使って映画を作るには、イマジネーションがないとどうしようもない。
ピクサーやWETAは、その両方の理想的なハイブリッド工房です。
ピーター・ジャクソンやジョン・ラセターみたいな人が、もっと出てこないもんかねΨ(`∀´)Ψ
↑
まあ、ピクサーは後継世代を作るのにもとても熱心だそうな。
実際この「カールじいさん~」は、ピート・ドクター、ボブ・ピーターソンの監督ですしね。
辿り着いた南米の滝で、嫁ともども憧れた冒険家に出会い、子供と鳥を守るためにその冒険家と対峙して、最終的にはエリーとの思い出の家まで手放してがんばるじいさん。
階段自力で昇れなかったってのはなんの冗談ですか?というほど、アクションにつぐアクションで大活躍。
クリント・イーストウッド並にかっこいいです(笑)。
絡んでくる子供も鳥も犬もかわいいですよ~(≧▽≦)
南米での冒険で家は失ったじいさんですが、エリーとの思い出は失われず、孫のような友人と愛犬を得て、また新しい生活をスタートさせるんですな。
いちいち、たくさん出てくるワンコの一匹まで、こまごまとちょっとした仕草や表情にまで手が入っています。
見るのに一生懸命になっちゃって、飲み物飲むの忘れてたもんね(笑)。
背景やもろもろが非常にリアルなのと打って変わって、
バウリンガル
の進化形のような喋れる機械をつけてベラベラ喋る犬たちが、戦闘機まで操縦してしまうあたり、とってもアニメっぽい。
子供に楽しいシーンも、大人がほろりとさせられるシーンも、もちろんたくさんあります。
大人も子供もそれぞれの視点で楽しめるのは
「ニモ」
なんかと一緒。
いろいろぎゅーっと詰め込んだ脚本ですが、最後まで求心力を失いません。
なんで風船で家が飛ぶのさ?
なんで犬が戦闘機飛ばしたり給仕したりするの?
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こういうふうなとこに引っかかる人には向かない話ではあります(笑)。
【追記1】
クレジットの「スペシャルサンクス」のトップにスティーブ・ジョブズの名前を見つけて、にやにやしていた私はMac使い(笑)。
ピクサー映画は、ラストのクレジットがとてもおもしろい。
最後の最後まで手を抜かず全力投球(笑)。
最後まで席を立たずに見るがよろし。
【追記2】
大きな鳥さんの鳴き声を聞いて、ロード・ランナーを思い出した。
ミッミッってなく、鳥さんですよ。
ワーナーの。
【追記3】
ピクサー名物・本編上映前の短編。
今回は、いろいろな赤ちゃんを生み出す雲の神様(?)と、それを下界に運ぶコウノトリの話(『晴れ ときどき くもり』)でした。
他のコンビは問題なくかわいい赤ちゃんを運んでいるのに、ひとりの神様は癖のある、暴れたり噛みついたり凶暴な赤ちゃんしか生み出さず、相方のコウノトリはいつもズタボロ(^^;
これもセリフのない短編ですが。
落ちこぼれ(?)の神様とコウノトリ、どんだけラブいのっ!?(笑)いつもこの短編も楽しみでねぇΨ(`∀´)Ψ
ピクサーのセリフなしシーンの上手さは、数多いこの短編の制作経験からきているんでしょうね。
【追記4】
何故アメリカのじいさんは、日がな一日玄関わきのポーチの椅子に座って新聞を読みたがるんだろう(笑)。
白人の大好きな日光浴のためかな?
あと、この映画では、犬とリスの関係、アメリカ人にとっての鴫の存在あたりが、カルチャー・ギャップとして日本人にはわかりにくいです。
犬&リスはまだ想像がつくけど、鴫ってそんなに街中にいるものなのか???