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アヒルと鴨のコインロッカー【小説】

 27,2009 01:19
映画化されてたが、いったいどうやってっ!?(^^;


アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
(2006/12/21)
伊坂 幸太郎

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まだまだ続くよ、伊坂月間(笑)。
これは、初読。

小説は小説なりの、映像は映像なりの表現方法があり、どうしても違うんだということは前にも書いたんですが、この小説読んで、最初の感想が「これ、映像でどうやるんだ?!」でした(^^;

ちなみに、表題で説明されているアヒルと鴨の違いですが、私は白いのがアヒル、茶色いのが鴨、と思っていました。
しかし、本文によると、アヒルが外来種、鴨が国内の種と書かれている。
一応、調べてみたら、鴨を家畜化したのがアヒルとのことで、アヒルにも茶色いのはいるということでした。

この小説も、伊坂作品らしい、緻密な構成のどんでん返し付きです。
なんかしかし、ここまで慣れてくると、裏読みしながら読んじゃう感じになってくるなぁ(^^;

やはり、必ず思う事は、伊坂作品に出てくるキャラクターの、一風変わった倫理感について、ですかね。
必ずと言ってもいいほど、メインキャラの何人かは、独特の倫理観を持っている。
今回はそれが河崎くんです。

「現在」と「2年前」が交互に進行する構成で、進んでいくにつれてだんだんとそれが結びついてくるお話です。

「現在」は大学生なりたて・一人暮らし開始早々の椎名くんと河崎の話。

「2年前」は、河崎の元彼女・琴美ちゃんと、琴美ちゃんの現彼氏でブータン人のドルジがメインになった話。

河崎のアパートの隣の部屋に引っ越してきた椎名くん、初対面の河崎にいきなり「一緒に本屋を襲って広辞苑を盗んでこよう」と誘われます。
そこだけは、映画の予告編見て、私も知っていた。
そのエピソードとタイトルから、実はもっとほのぼのとした話を想像していたんですが、なんのなんの。
結構ヘビーな話です。


以下、ネタバレはあまりしませんが、ちょっとでも内容を知るのは嫌!という方のために隔離。


「理不尽な暴力」「降ってわいた災い」。
これも、伊坂作品のキーですね。

今回も、ペット殺しを次々に重ね、ペットに飽きたら人間襲うか~という、若者三人組が出てきます。
そこそこペット虐待のことが出てきますので、このあたり読むのしんどい人もいるかも。
↑まあ、虐待してる真っ最中のことはほとんど出てきません。
こんなことされた猫が見つかった。あんなひどいことされた犬が見つかった、という具合に出てきます。

河崎は美形で、とにかく女と見たら口説く。
365日全部、元カノの誕生日で埋めるのが目標という男なんですが、なのに「嫌なやつ」でないのは、やはり彼の行動や倫理感に由来するんでしょう。
レッサーパンダと宗教のない国には住まないほうがいいというのが、持論(笑)。

野生のレッサーパンダも宗教もあるブータン出身のドルジとは、妙に中がよかったり。

なんだか、オダギリジョーのイメージでしたねぇ。
顔立ちは、もっと明らかに美形っぽく書かれていますが。
美人の部類、とまで書かれている(笑)。


物語自体は、バッドエンドとまでは言えないまでも、すっきりハッピー!なお話ではないです。
内容もヘビーものがある。いろいろとね。

断片のイメージとタイトルから思っていた感じとは、全然別の方向にすっとんでいったな~(^^;

でもそこはそれ、伊坂さんですので、うまく、上手に隙なくまとめています。
私の読書タイムは基本乗物に乗っている時か、もしくは風呂の中ですが、これはそれ以外でも読みました。
途中、気になって気になって(笑)。

・日本で暮らす外国人のこと。
・自分は、自分の人生では主役だけど、他人の人生では脇役だということ。
・死生観。
・突然の災い。もしくは突然終わる命。
・小動物の虐待から人間目当てにエスカレートする暴力。
・大学時代のモラトリアムの突然の終了予告。
・他人への関心、もしくは恋情、友情に基づく行動。衝動。

そんなものが盛りだくさんだけど整然と1本の小説になっている。

あ、あとやはり、独特の倫理観(笑)。

筋立てについては詳しく書かないでおきます。
これは、そういう種類の小説。
オチ知らないで読んだ方がいい。

私はネタバレ全然OKで、推理小説でも逆さから読んでも平気なタイプですが、もちろん、ネタバレしたらおもしろさ半減以下なものについては、人様に話すときは気をつけます。
映画の「SAW」みたいなね。
↑これは、ネタバレされると9割がたおもしろくなくなります。
自分で見るのじゃ(笑)。
ただし、ちょっと猟奇なの平気な方だけね。

伊坂さんの小説は、結構一人称の文体が多いんですが、その一人称の人が主役でないことが多いですね。
「重力ピエロ」しかり、この本しかり、です。

一人称の「僕」=椎名くんが、メインキャラのように最初思えるけれど、最後まで読んでみれば主役は別の人だった。
これは、「自分は、自分の人生では主役だけど、他人の人生では脇役だということ」にかけてあるのかも。

最近は、行間を読む必要のない小説が多い。
登場人物の心境からなにから、すべて懇切丁寧に文字で説明してくれる漫画も多い。
広げたままの風呂敷畳まない、伏線回収しない、投げ出しっぱの話も多いけどね(^^;

この本は、行間や予後がいっぱいあって、読んで、そのあと自分でいろいろ考える小説でしょう。
椎名くんがどうするのか。
麗子さんはどういうふうに変わっていくのか。
死ななかった「彼」は、考えを変えるのか。
「クロシバ」はどう生きていくのか(笑)。
その他もろもろ。
だから、多分読者の考え方によって、内容の印象が変わる。

自分で考えて読むのが吉(笑)。


【追記1】

これには、「陽気なギャングが地球を回す」の登場人物がちょこっと話だけ出てきます。

【追記2】

これ読んで、伊坂作品の特徴がもひとつわかったぞ(笑)。
キャラに、生々しい色気がないのだΨ(`∀´)Ψ

このお話に出てくる河崎くんは、すんごい女性好きで女ったらしと言ってもいいくらいなんですが、なぜかこう、生々しくはないんだなぁ。
そう考えてみると、他にもそんな感じのキャラがちらほらいますね。

【追記3】

創元推理文庫バンザイ(≧▽≦)
最近の、むやみやたらと大きな字の文庫は苦手というか、あまり好きじゃないんですが、この文庫の文字の大きさはいいなぁ~!

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