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MW-ムウ-【原作マンガ】

 04,2009 03:21
壮大な話を、描き切れなかったと天才が後悔した作品。

【アニメでしか手塚作品を知らない人はびっくりするぞ(笑)。
時代背景や、含まれる情報など、読み手にいくらかの理解力を求められる。
玉木くんが好き~♪だけなら、読まなくてもたぶん無問題Ψ(`∀´)Ψ】


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再読。

けして、手塚作品の中では、完成度の高い話ではないと思う。
手塚さんご本人が、わざわざ心残りを記しているくらいなんだし。

だいたい、やたらと映画広告で「禁断」「禁断」言われてますが、手塚作品には元々結構ブラックなものが多いんですよ。
確かに「MW-ムウ-」は、他の作品と比べて露骨な描写は多いんだけどさ。
「禁断」ばっかり言う人は、アニメの手塚治虫のイメージが強いんだろうなぁ。


「火の鳥」だって、ヤマト編とか結構怖いぞ(^^;
いや、話自体はともかく、生き埋めにされたまま、ずっと歌い続ける人たちとか(T△T)
それが、一年以上をかけて、だんだん聞こえなくなるとことか(T△T)(T△T)
「火の鳥」の中では、私はこのヤマト編と、ロビタのお話が好きなんですがね。


「MW-ムウ-」は、結城美知夫というキャラクターを、どう捉えるかで感想も変わるでしょう。
「狂人」なのか、賀来巌が言うように「悪魔にとりつかれた哀れな人間」なのか、「被害者」なのか、「加害者」なのか。

原作の結城は、けして無機質ではないと、私は思う。
クレバーかもしれんが、クールではない。
鬼畜かもしれんが、冷酷ではない。

なんだろう。肉感的なイメージがあって、ずっと微熱を持っているような感じだからかな。
例え利用するためでも、殺すのが目的でも、よく人間と関わってるし。
普通に言う、コミュニケーションではないにしてもね。
関わっている、というより、絡んでいる、だろうか。

っていうか、結構ずさんに関わってるので、あれで捜査線上に浮かばなかったら、よっぽど警察が無能な気がするなぁ(^^;

やっぱ、イメージは若かりし頃のジュリーだわぁ(笑)。
「太陽を盗んだ男」とか、あれよりもうちょっと若い頃か。

もちろんリアルタイムではないので、私も後からビデオで見たんですが、「太陽を盗んだ男」は傑作ですよ(≧▽≦)b
コンセプトも、「MW-ムウ-」と似通ったところもあるし。
毒ガスの代わりに原子爆弾な感じで。
好き嫌いはあるだろうけど(笑)。


以下、MWネタバレ。


なんせ「ハクいナオン」ですから!
「フーテンゴロ」ですから!
時代だなぁ(笑)。

15年前、ある島にたまたま居合わせた小学4年生の結城美知夫と多分高校生くらいの賀来巌は、全島民が「MW」という毒ガスで死滅する中で、二人だけ生き残る。
成長した賀来は、その島で体験した悪夢や死んでいった島民たちの顔が忘れらず、神に縋るために神父になり、結城はエリート銀行員となっていた。

だが、MWに身体を冒された結城は、良心を失っており、誘拐・殺人などを繰り返しては賀来のところに懺悔に来る。
結城を止めようとしながらも、共犯として引きずられていく賀来。

MWに冒された身体がもうもたず、自分の寿命が残り少ないと知った結城は、寿命のある
うちにMWを手に入れ、自分の死とともに全人類を道連れにしようとするが……。

という話なんですが。


MWの存在がクローズアップされていくのは、話がそこそこ進んでから。
もともとの利用目的は、ベトナム戦争で使用する予定の大量殺戮用兵器だったが、戦争末期だったので結局使われなかった最強の毒ガス、という位置づけです。
ベトナム戦争やら、某国やら、角さんのような政治家やら、いろいろ時代を反映したモチーフが出てきます。

しかし、ほんとによくあんな頃にこの話を描いたなぁ!
竹宮恵子さんが「風と木の詩」描いたのと同時期でしょ。多分。
あれでさえ、出版社をたらい回しにされたって聞いたことあるのに。
↑内容は全然違いますが、まあ、問題作という点でね(^^;
私はちょっと耽美な素養に欠けるので(^^;「風と木の詩」全部は読めてないんだけど。
竹宮さんの「地球へ」は大好きなんだけど!

っていうか、ビックコミックってそんなに古い雑誌だったんだ、ということにも驚いたり(笑)。


ともかく結城が、身も心も人として壊れているΨ(`∀´)Ψ
復讐とかなんとかでなく、ただそうしたいからと言って犯行を重ねていくわけです。
MWが欲しいのは、ただ欲しいからだと。
尋常ではないMWへの執着が、彼の悲劇と言えばそうなんでしょうね。

「禁断禁断」言われている理由のひとつに、賀来と結城の同性愛関係があるんですが、原作はどう考えても賀来が元々ゲイかバイだ。
もしくはショタ(笑)。

その他の「禁断」のお相手は、犬やらアメリカのジェネラルやら、その嫁やら、薬で殺しながらやら。

結城さん、やりたい放題です。


まあ、他にもアメリカ軍やら政府やら、政治家と企業の癒着やらいろいろ禁断ネタは盛りだくさん。

まだ見てない映画のほうは、どうも玉木さんと山田孝之くんの話を聞いている限り、二人の関係は賀来の強烈な片思いに近い。
結城のほうは、もちろん同じ地獄を経験をした唯一の人間として賀来は特別な存在なんでしょうけど、特に愛しているわけでもない、というふうなんですが。

原作はどう考えても結城のほうが賀来に執着している感じ。
賀来は賀来で、もちろん、いろいろ責任を感じていたり、危うい結城を放っておけなかったり、やはりなにげに大事に思ってたりするんですが、根っこが体育会系なもんで、なにやってても健全な印象なんですね。


「生きる者、全て道連れだ」
 ↑これは映画のコピーだったかな?

ある意味一番壮大なのは、結城のこの決意かもしれません。
秦の始皇帝でも全人類道連れは無理だったんだから(笑)。

映画の結城の決意は、強烈な復讐心からっぽいですが、原作の結城は「だって一人で死ぬの淋しいし、やだし。なんで俺だけ」って感じかな。
どこか子供っぽいところを残し、女性的な面も多々ある。
子供が、虫の羽根むしったり、カエル破裂させたりするでしょう。
結城の残酷さはそんな感じ。
そんな心を残しつつ、大人で社会人もやってるので、禁断系も入る(笑)。

でも、罪悪感が欠落しており、あらゆる欲望に忠実というところでは、一貫して子供っぽいのかもな~。
MWに冒された時点で、そういう部分の成長が止まってしまったということか。

で、そういう結城が賀来に執着する理由は、同じ地獄を経験したからというよりも、「初めてからだを触れあった人間(@原作結城談)」だからとも思えます。
この発言から、結城は子供時代、あまり家族との関係がよくなかったようにも取れる。
まあでも「他人と」って言ってるから、文字通り「他人とは」だったりして(^^;

でも、明らかに、淋しい子供っぽく描かれてはいますね。

歌舞伎名門家の男子なのに、お兄ちゃんと違ってなぜか結城だけ歌舞伎に関わってないふうにも読める。
成長して、だんだん恐ろしい一面が見えてきたから縁切ったというよりは、元々結城だけ家族から外れていたっぽく読める……ような気もする。ちょっとこじつけ気味に(笑)。

普通、関西の歌舞伎の名門家に生まれた男の子なら、本人の意思関係なしに3~5歳の間にはもう初舞台を踏みますよ。
もしそれもやってないなら、本当に家族間に問題があったということです。

そのあたりも意図的に描かれていたのだとしたら、結城の人格形成にも関わってきそうな部分ですけどね。

本編では、前振りはたくさんあるものの、ちょっとお兄ちゃんエピソードが唐突な気もするので、そこんところも手塚さんが描きこめなかったと思われた部分なのかもしれません。

実際のところは手塚さん以外には けしてわかんないけど(笑)。


けして、万人受けする漫画でも、手塚作品の中で完成度がオニ高い作品でもないと思います。
でも、手塚さんの多様性を見るにはいいマンガかと。

何度も書きますが、一般受けはしませんよ?(笑)

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